
HP OMEN 16(16-wf0022TX)にて、電源は入るものの画面が映らず、キーボードも全く反応しないというトラブルの修理を行いました。
外部モニターには表示されるため、GPUの致命的故障ではありませんでしたが、内部の基板に複数の不具合が併発している状態でした。
症状:画面が映らず、キーボードも無反応
お客様より持ち込まれた際の主な症状は以下の通りです:
- 内蔵キーボードがまったく反応しない
- 画面が真っ暗(バックライトも点灯せず)
- 外部モニターには正常に映像出力される
- 電源ボタンを押しても反応が鈍く、内臓バッテリーを一度外してからでないと起動できないこともある
これらの症状から、単なるディスプレイ故障やキーボード不良ではなく、マザーボード上の制御回路に問題がある可能性が高いと判断しました。
IOコントローラーと映像制御の異常(マザーボード故障)

パソコンを分解してマザーボードを取り出し、詳細な検査を実施したところ、次の異常が確認されました。
- IOコントローラーチップ(Embedded Controller)に動作不良
- 電源管理やキーボード、タッチパッドの制御を担うIC
- 一部ピンで不安定な電圧挙動があり、バッテリー抜き差しでリセットしないと起動しない原因に
- 内蔵映像出力回路に不具合
- 内蔵ディスプレイへの信号が正しく送られておらず、バックライトも点灯せず
- 外部モニター出力は正常
IOチップ交換と映像回路補修

今回の修理では、以下の作業を行いました。
- IOコントローラーチップの取り外し・交換
- 専用リワーク機材を使用し、故障したIOチップを安全に取り外し
- 新品ICを再実装し、周辺回路の通電・通信状態を確認
- 映像出力回路の補修
- パネル出力ラインとバックライト制御回路の電圧レベルを修正
- 異常な信号ロスがあった箇所の補修を実施
- 内部クリーニング・接点再処理
- 長年の使用による微細な酸化・ホコリの除去
- ハンダ割れ・接触不良の再処置も併せて実施
液晶表示・キーボード復活

修理完了後、以下の項目をすべて確認しました。
- 電源ボタンで即座に正常起動
- 内蔵ディスプレイに明るく映像が表示
- 内蔵キーボードの全キー反応を確認
- 外部モニターへの出力も引き続き正常
- バッテリーを外さなくても再起動が可能に
【写真:修理後、内蔵画面が映り、キーボード操作が可能になった状態】
同様のトラブルでお困りの方へ
今回のように「キーボードが反応しない」「画面が映らない」「バッテリーを抜かないと起動しない」といった症状は、マザーボードのIOチップや映像制御回路の不具合が原因であることが多くあります。
パーツ交換だけでは解決しないケースがほとんどのため、基板レベルでの補修作業が必要です。
当店では、HP OMENシリーズをはじめとしたゲーミングノートPCのマザーボード修理に多数対応しています。
▶ 詳しくは マザーボード修理のご案内ページ をご覧ください。修理内容・納期などをご確認いただけます。